4Xをはじめてみよう企画--その2

現在の4X事情
呼称
現在の4X事情と言っても、2シーズン目を迎えたばかりのフォーマットです。また、各国でこの競技の呼称が変わり、UCIのワールドカップは4X、イギリスの国内戦ではBSX、アメリカのNORBAではMTXとなり、日本では4Xとなります。ここでは、4Xと統一します。どんな事情があるのか不明ですが、この統一感の無さがこの競技の普及を妨げているような気がしてならないです。

各国の動き
上で述べたように、アメリカ、イギリスの他に僕が確認できたのはドイツでシリーズ戦が開催されています。日本では全日本選手権の1戦のみとなり、これもまた盛り上がりを妨げています。高松健二は4X専門ライダーと名乗っていますが、これはUCIのワールドカップを転戦しているからこそ、ということです。

『スタートはアホみたいに大事』高松 健二
ゲートのスタートは非常に重要視されています。ゲートが不利な位置でも、スタートで前に出ることにより、1コーナーに有利に入ることが可能となります。前に出ることができる、ということは、意識的にブレーキをかけて後ろのライダーを詰まらせるという戦略や、クラッシュに巻き込まれるという危険性が無くなることなど、レースを運ぶ上で、圧倒的に有利となります。これは、BMXライダーや、BMX出身選手にとってアドバンテージとなっています。例を挙げるまでもありませんが、4Xに君臨するブライアン・ロープスセドリック・グラシアエリック・カーターなどは全てBMXでスキルを積んだレーサーです。そして、昨年から常に上位につけてきた、チェコのライダー、ミハエル・プロコップは特筆すべきスタートを見せます。彼はBMXのヨーロッパチャンピオンであり、現役バリバリです。全てのレースをリジッドバイクで走り、2003年は1、2戦を終えた現在でランキング2位に付けています。彼が今年のタイトルを獲る可能性は十分あります。彼の凄さは、スタートだけでなく、コギ出しの速さ、ライン取りの巧さも含め、トータルバランスの良さにあると思います。BMXライダーとしてなら、2002年に参戦してしていたトーマス・アーリエの方が素晴らしい選手と言えますが、それほどの成功はしなかったと言えます。2003年度は、スポンサーがMTBに予算を割かなくなったようで、参戦していません。

本邦初公開?プロコップはこんな人です。テクノカットに、角刈りに近いヘアスタイルがいかします。
2003年、第二戦フランスラウンド、4Xセミファイナルの模様です。一番手前、プロコップの速さに注目です。一番向こうはカーターです。しかし、プロコップのフロントフォーク、インナーチューブの見えている長さが異様に短いですね。盗んで下さい。このスタート。

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Dirtマガジンの#39にエリック・カーターのインタビューが掲載されています。ここで、『もう一度走り直したいレースは?』 という質問に、2002年の世界選手権4Xを挙げています。映像を探してチェックして見ると、一番インにブライアン・ロープス、その横にカーターという順で、スタートで前に出たカーターが1コーナーでインを閉めにかかるのですが、そのインにブライアン・ロープスが飛び込み、刺されてしまいます。ラインを外したカーターはSPDを外してしまい、グラシアに対してブロックラインを取ることが出来ず、結局3位でフィニッシュしています。1位で出て、インを押さえる、それは一番難しいことであり、また勝利に最も近いことなのです。

2003年世界選手権4X決勝の第一コーナーです。荒い画像で申し訳ないですが、インからロープス、カーター、グラシア、プロコップです。

映像提供:内嶋 亮選手

予選の重要さ
予選は上位64人が通過となり、その順位でスタート枠が決定されます。簡単に言うと、64位のギリギリで通過した選手は、1位で通過した選手と同じ枠になり、63位で通過した選手は2位の選手と同じ枠となります。つまり、予選を上位で通過した選手ほど有利なスタート位置と、遅い相手と対戦することが可能となるのです。

と、ここまで書いた所で、2002年度のUCI MTB WORLD CUP全5戦のリザルトをチェックしてみました。すると、驚くべきことが。「予選を1位で通過した選手で優勝したライダーはいない」ということです。また、Finalまで進出した選手で、10位以下の選手は存在しません。このデータを元にして言えることは、予選を10位以上で通過しなければ優勝できないが、1位で通過しても間違いなく優勝できる訳では無い、ということです。4〜8位の順位決定戦の顔ぶれを見ると、最高が予選2位、最低が40位となり、一気に幅広くなります。

ちなみに、上の法則は2003年の第2戦フランスラウンドでプロコップにより、破られています。彼は予選22位で通過し、決勝は3位でした。この辺の勝負強さが、彼に注目すべき理由でしょう。 話はそれますが、昨年のシリーズチャンピオン、ブライアン・ロープスは、一度も優勝していません。その一度も優勝していないロープスが、シリーズで2回優勝しているカーターに、一発勝負の世界選手権で勝ってしまい、そのうえ総合ポイントリーダーとなるというのは不思議なことです。最後はメンタルの勝負なのかも知れません。

決勝での戦略
決勝は4人で走り、上位2名が次のヒートに進出します。ここに、不確定要素が加わります。今年の第1戦目では、予選1位のブライアン・ロープスが1ヒート目でスタート直後に転倒して4-6週間という大怪我を負っています。これは、スタート直後からデール・ホームズと肘が接触していたため、バランス崩してとのことだと思われます。また、コーナーのインに入られて接触する、前で詰まって失速し、ジャンプが出来ずにスピードを失うなどあらゆる事態が想定できます。もっとも重要なことは、スタート決め、1コーナーに1番で進入することに尽きます。戦略と言う必要が無いほど、シンプルなことです。1コーナーに1番で進入してインを閉めてしまえば、そのヒートはあなたのものかも知れません。

以上はスタートを決めた場合の話ですが、残りの3人は少しでも前に出ようと考え、レース中の一瞬で戦略を組み立てる訳です。実は、スタートで前に出ることが出来なかった場合の戦略の組み立てが、一番重要だと僕は感じています。他のライダーの位置、動きを把握し、ラインを考えるという複雑な作業は、ライダーにしか感じることの出来ないことであり、これ以上は彼らの領域だと思います。なんで、聞いてみました。

スタートを1番出ることが出来なかった場合--高松健二に聞いてみよう
高松健二のコメント
前のライダーの動きを見て、コーナーでラインを変え、次のジャンプで抜く、立ち上がりで抜くなど。イン-アウトで立ち上がって混戦が予想されるなら、アウト-アウトで立ち上がってスピードを乗せて抜くなど。
あとは、前でコケてくれーと祈る。それのみ。

UCI World Cup #1スコットランド、4X決勝での模様。スタート直後、第一コーナー手前です。先頭からミナー、ピート、カーター、プロコップです。4Xにはちょっとばかりの運も必要です。このレースの模様についてはdownhillagogo.comまで。

DHライダーもメチャ速い
DHライダーの皆さん、俺は関係ねーとか思ってませんか?実は、ワールドカップにおいてはDHと4Xの両方にエントリーしているライダーも多いのですが、彼らがまた死ぬほど速いです。クリストファー・コヴァリック、ネイザン・レニースティーブ・ピートグレッグ・ミナーなど、彼らはバリバリのトップDHレーサーですが、4Xを走っても優秀な成績を残します。DHライダーはジャンプがヘタだ、とかいうのは全くの嘘です。日本においては、ジャンプが本当に上手い選手は一握りになってしまいます。逆に、DHが速くなくても、ジャンプが上手い選手が増えてきてます。いいことです。

1984年生まれ、若干19才のオーストラリア人、Justin Havukainen(ジャスティン・ハブカイネン?)。オーストラリアのDHチームのコーチであるスコット・シャープルスの下、お勉強中です・・と言っても、スコットランドで8位。恐るべしオーストラリア。ジャンプも上手いし、4Xも速いです。

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